5月11日(水) ACL 予選Fグループ第5節 済南スタジアム
山東魯能泰山 2−1 横浜F・マリノス

第1部

さあ、いよいよ大一番。ACL予選突破をかけた一戦だ。こんなに気合の入った遠征は生涯初だね。

スタジアム持込物については、事前にさまざまな情報が飛び交っていた。
もう何が禁止で何が良いのかよくわかんない。そんなわけでとりあえず標準装備(傘、ゲーフラセット、ダンマク)で出発することに。

成田へはツアーのオプションの横浜駅からのバスを利用。集合時間は6時。朝っぱらから濃い面子が勢ぞろい。
前日の夜は遠足前の子供よろしく興奮気味であまり寝れなかったので、バスでは爆睡。目覚めると成田だった。

添乗員からツアーの説明を聞いて手続きを終えてから、腹ごしらえ。成田の第2ターミナルといえばここ、もう定番。
中央の大きなテーブルを十数人で囲む、バスよりもさらに濃い面子が勢ぞろいだ。

食事を終えた頃に横浜門旗登場。何でも出かけにバッグの肩ベルトが切れた上に、傘とフラッグのポールを電車の中に置き忘れてしまったらしい。さすがにテンションが低いだろうと思いきや、売店でバナナを見つけると即購入しネタを提供。

 

さすがである。

そろそろ時間なので搭乗口へ。そこはマリサポだらけ、しかも半分以上が顔見知りっていうのもどうかと思うな。

機内で飲み食いするものを買おうと、売店へ行くと、

こんな人が。
まるで避けるかのように周囲に人がいなかったのは、そこが『応援ゾーン』で『跳ばない奴は入ってはいけない』からですね。

搭乗。

いつもは満席にはならないというこの路線、しかし今日は満席。
「ああ、今日はマリノスの試合があるからなのね」
と。CAが言ってたらしい。
わずか2時間ちょっとのフライトなのにシートモニターが付いてるよ。
でも、実質の稼働時間内じゃ映画1本見きれない。予想通りモニターを生かす間もなく青島到着。済州並みに微妙。

空港ではツアーの添乗員が入国手続きの手順を事細かに説明してくれる。
添乗員同行のツアーというのは、こんなにも至れり尽くせりなんだな。

青島の空港からバスで一路済南を目指す。
このツアーで準備されたバスは3台。俺は1号車に乗り込む。
1号車後方は例によって濃い面子、これが噂の馬鹿バスですね。

気が付かなかったけど、空港の出口からバス乗車口まではズラッと公安が並んでいたようだ。こんなとこまで警備する必要があるのかどうか疑問だが、やるところがいかにも中国らしい。

公安のパトカーの先導され出発。済南までは4時間、長い。
しかもバスのシート間隔が異常に狭くて窮屈、足も組めないほど。これで4時間は辛い。

ちなみに1号車にはテレ朝の取材陣が同行。昨今の反日の影響がなければ絶対に来なかっただろうと思われる記者に対して「地上波で生放送しろ」等、言いたい放題。
それでも、そんな事言ってる人達にきちんと取材。

このインタビューが報道ステーションで使われたらしいね。

バスの車窓からの景色は延々とポプラ畑が続く。
何でも、道路に街灯がないので、夜でもヘッドライトで道路の輪郭をたどれるようにするためらしい。っていう割には道路からかなり離れてるんですが。
でも本当に都市部に入るまで数百キロポプラ畑が続いてんの、こんな土地の使い方ができるのも中国ならでは。

途中何度かパーキングのようなとこでトイレ休憩を挟んで、ひたすら突っ走る。

車内では、いかにしてスタジアムに物を持ち込むかという算段がなされる。
ANAセールスの方でも中国側の言ってることが毎日変わるから、正確な情報を確認できていないらしい。ただ、バッグは持ち込み禁止、傘もダメ、投げられるものはとにかくダメ。手ぶらでスタジアムに入らなければならないとのことらしい。

誰がそんなこと守るもんか。

もう何が禁止とかどうとか関係ない。とにかく持ち込みたい物を持って、いかに検問を突破するかだ。
帽子の中にフラッグを潜ませる。
フラッグをファッションとして腰に巻きつける。
パンツの中にハンディパックのドリンクを忍ばせる。
など、各自趣向を凝らす。
極めつけは、バンデーラを体に巻きつけて、上着でカモフラージュするというもの。

この時はまだ、どんなに厳しくても去年のアジアカップ決勝の時の検問程度だろうとタカをくくっていたが、後にそれは甘い考えだったと思い知らされることになるとは…。


どうやらスタジアム到着はキックオフ1時間前くらいになるらしい。ということで「バスの中からテンションをあげてくよ!」とマスター。
コーヒールンバやアジアの歌が自然発生。すかさずテレ朝取材陣がカメラをまわしてた。

そんなこんなで済南へ。市内の高速の合流部は全てパトカーが通行止めにしており、走ってるのは先導のパトカーとマリサポバスのみ。中国人はやることが極端すぎる。

どこもこんな状況。

さあ、いよいよスタジアムが見えてきたよ!

キックオフ1時間ちょっと前だったが、まだ開場してないらしい。スタジアムの周りは人でいっぱいだ。ところどころオレンジ集団もいた。

さらにスタジアムに近づくにつれて驚愕の実態が明らかになる。

 

人民解放軍の壁、壁、壁。これでもかというほど。

ここでチケットが配られた。

そして、バスはスタジアムのすぐ脇に止まる。周囲は公安やら軍隊に囲まれている。

ちょっと待ってよ!

まだ、持込物の隠匿をしていない。慌ててカーテンを閉めて作業にかかる。
前方座席の真面目な人たちはすでにバスを降りている、どうやらバスを降りたところで荷物検査が行われているらしい。

自分はこのときのためにスパッツをはいていたので、その中にハンディパックのアクエリアス数個とウイダーゼリーを数個、さらにブロックのカロリーメイトを忍ばせた。さらにシャツの内側にフラッグ、そして靴の中にデジカメを仕込み、ダンマクの入ったバッグを持って降りる。
同じバスに乗っていた町田のマリサポさんから

「ダンマクどうする?」

と聞かれたんで、

「持って突破しますよ」

と答えましたが、荷物チェックどころか、やっぱりバッグそのものを持って入ることができないらしい。
そんなこと言われても知るもんか。と、次々とバッグを抱えてバスを降りる面々。近くではツアーの添乗員が、

「バッグ自体持ち込めません、お願いですから守ってください」

と半分泣きそうな声で必死に訴えかけている。

そして公安は一人一人チェックしており、小さなポーチを持っている人すら通させない。

さすがにこれはダメだ、ダンマク入りのバッグはバスに置いて行かざるをえなかった。

そんなんわけで一度バスに戻ると、そこにまっきぃさんがいるではないか。
今回も個人旅行で来ているのだが、チケットが手に入っていないらしい。聞けばダフ屋もいないとか。
それを聞き、フロントのSさんに事情を説明してチケットが余ってないか聞いてみたが、冷たく「無い」と言って、まったく執りあってもらえなかった。無いのは仕方ないけど、対応があまりにも酷すぎやしないか?

まっきぃさんにチケは余ってないと伝え、スミマセンと一言。まっきぃさんは、そのままツアーのサポに混じって突破しようと先に行ってしまい、それっきり会えませんでした。
後日談ですが、まっきぃさんは結局スタジアムに入れず、ホテルで涙ながらにテレビ観戦したらしいです。
この山東戦でいちばん悔しかったのは、スタンドで観たサポでも、日本でテレビ観戦したサポでもなく、中国まで行ってテレビ観戦せざるを得なかったまっきぃさんだと思う。

さて、やむなくバッグを置いて検問へ。腰にはポーチを下げていたが、上着でカモフラージュされていたために難なく通過。もちろんスパッツの中に多くのブツを忍ばせたまま。

さあ、これでスタジアムへ入れるかと思いきやそうは問屋が卸さない。続いて第2関門。
チケットをもぎられて金属探知ゲートをくぐる。靴の中にデジカメが入ってるんでもちろん引っかかり、金属探知機で細かくチェックされる。
ここで腰のポーチが引っかかった。中にはパスポート等が入ってるんで「貴重品だろ、持って入れさせろよ!」とウダウダやっていたがダメの一点張り。すると同じくチェックに引っかかっていたskyさんが、一度バスに物を置きに行くというので、自分のポーチも預けて持って行ってもらいました。ありがとうございます。

ポーチの件でウダウダやってたんでスパッツの中のブツはチェックされずに通過。一安心で近くにいたあもちゃんと階段を上がっていくと、公安が「あっちに行け」と左側を指差す。
しかしマリサポゾーンは明らかに右側だ、「横浜だよ」「マリノスだよ」と言って、無理やり右に進むと、考案はニヤニヤ笑っていた。何だったんだいったい?

これでようやくスタンドに入れるだろうと進んでいくと、またしても列ができている。その先にはなんと第3関門が。
そこでも金属探知ゲートと棒でのチェック。さらに財布の小銭まで没収されているではないか。これにはANAの添乗員も聞いていないと激怒。中国人の現地添乗員までもが小銭を没収されたらしい。

これがいよいよ最後の関門だ。
金属探知ゲートは当然引っかかる、だって財布持って通ってるからね。
まずはここで小銭を預ける。名前と金額を申告して書き留めてもらう。そしてボディチェック。
まず上着のポケットの中の物を全部出させられる。
ポケットには第2関門で引っかかったポーチの中身を全部移し変えていたので、がさばっていたのがまずかった。その中には持ち込み禁止物はなかったが、これでズボンのポケットにも何か入っているかも、と思われたのが痛かった。
そして欲をかいて、スパッツの中にいろんな物を詰め込みすぎたのが良くなかった。

ズボンのポケットをチェックされる、そこには何も入っていないが、さらに内側に入っていたハンディパックが発見されてしまった。そのためか、コイツは他にも何か持っているかもしれない、とチェックに拍車がかかり、スパッツの中の物が全て発見されてしまった。
さらに勝手にシャツをまくられ、フラッグまでも発見されてしまう。

後からいろんな人の話を聞いたけど、これほど厳しくはチェックされなかったようだ。どうして俺だけ・・・。

しかし靴の中まではチェックされずにデジカメは持込に成功した。

そんなわけで、今後同じような状況に出くわすかどうかわかんないけど、対策を練ってみた。

ズボンの中に物を忍ばせる場合は股間、太腿の内側に一つだけにする。ポケットのある部分は危険。
靴の中は安全。食べ物ではカロリーメイト等を入れることができるし、ハンディパックも200ミリまで減らしておけば入る。
事前にシークレットブーツ並みに加工して、物を入れることができるようにすれば言うことなし。
カモフラージュとして没収覚悟でフラッグなどを腰に巻いておき、それに関してウダウダ言ってれば、その事に意識が集中し他のチェックがおろそかになることも。

まあざっとこんな感じか。きっとスタジアムに入るのにこれ以上厳しいチェックは世の中に存在しないはず。

 

ともかくようやくスタンドに到着、キックオフ30分前だ。選手はすでにピッチで練習をしている。

いよいよ戦いが始まる。

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